心を癒すお花について
四季のある国に暮らしていると、季節ごとに、その姿かたちや色、香りで、私たちを楽しませ、元気
づけ、癒してくれる草花たちとの出会いに恵まれます。
これは、そんな草花をこよなく愛する私がお届けするメッセージです。
*母の愛した花 勿忘草(ワスレナグサ)
美しいブルーの可憐な花、ワスレナグサも私の好きな花のひとつです。
欧米では、昔から友愛や誠実のシンボルとして広く親しまれていますが、英語で『forget-me-not』
と呼ばれるこの花の名は、中世ドイツの悲恋伝説に因むものです。
花言葉が「真実の愛」、「私を忘れないで下さい」、「思い出」などとなっているのもそのためでしょう。

私の母も花が大好きな人でした。
それも、豪華というよりは清楚で可憐な花が好きだったように思います。
勿忘草もそんな母の愛した花のひとつです。
不思議なもので、亡くなった人との思い出は、時がたてばたつほど楽しかったこと、美しいもの
しか浮かんでこないもの…。
勿忘草の花が呼び起こすのは、幼い日の穏やかな春の陽だまりの風景と、母の優しい横顔…。

手入れをしながら「綺麗に咲いたね…。」 と話しかけると、春の柔らかな風に吹かれ、小さな
ブルーの花が小さく揺れました。
それは私には、母が「そうね…。」とうなずいてくれたように思えました。