昭和に育ち平成を生きる
私は昭和30年代の生まれです。 そして先日ふと思いました…、今までの私の人生は、昭和と
平成が約半分ずつだと…。 これはそんな、昭和の時代に育ち、平成の時代を生きる私が経験
した数々のパラダイムシフトについてのお話です。
*パラダイムシフトとは…その時代や分野において、当然のこと、常識と考えられていた認識や
思想、社会全体の価値観などが革命的に変化することを言う…。 ( wikipedia より抜粋 )
結婚にまつわるあれこれ
長女の結婚が決まってもうすぐ1年になるのでしょうか…。
それは〝 結婚 〟にまつわる色々なことが、私の経験したものとはあまりに大きく変わった…
ということを実感し、再認識した月日でした。
女子はクリスマスケーキ?!
私たちがお年頃の頃には、女子はクリスマスケーキだと言われていました。
クリスマスケーキの価値が一番高いのは、イブの24日ですよね。 25日も当日なのでまだ
いけますが、時間の経過とともにディスカウントが始まります…!
ましてや26日になると、すっかり売れ残り扱いされてしまい…(**)
そうなのです、女子としての価値が一番高い24歳から25歳までに結婚をしないと、あとは
暴落するよーー!というのがこの〝 クリスマスケーキ理論 〟 なのです。

しかも、結婚相手の条件は〝 三高 〟、つまり〝 高学歴、高収入、高身長 〟!
そんな男子がたくさんいる会社に就職するには、4年制の大学に行っては不利でした。
なぜって、4年制を卒業したらすでに22歳…。
女子は25歳ぐらいまでには寿退社(結婚退職のことです…。)するものだという考えが一般的
だったのですから、採用する側としては2~3年しか働いてくれない大卒よりも、短大卒の方が
いいですもの^^!
お嫁さん候補と永久就職
しかも採用の条件には、 自宅通学あるいはかなり厳しい管理下の学校の寮生だった事、という
ものがあり、一人暮らしをしていました、というのは不利だったのです。
そして、縁故採用がやたらと多かったようにも思えます。
これは、そもそもこの時代の女子社員の位置付けが〝 優秀な若き男子社員のお嫁さん候補 〟
だったからなんですって…。 身元がしっかりしていて、乱れた生活をしてこなかったであろうこと
がなにより大切だったと、当時某大手保険会社の人事担当だった叔父が言っておりました。
もちろん、すべての女子社員の採用がこのような基準で行われたわけではなく、その能力を買わ
れて採用された人たちもいたでしょう。
でも、多くの女の子たちは、自分の女子としての価値が下がらないうちに、なるべく条件のいい
相手を見つける場を求めて就職し、めでたく寿退社して一生養ってもらえる永久就職(結婚)に
つくことこそが最良の人生と思っていたし、親の世代はもちろん、社会もそれを願っていたように
思います。

娘達にこの話をすると、「 それいつの話? うけるーー!! それってセクハラじゃない?!」
と言われますが、当時の日本には、セクハラなんて言葉もなかったですよね…。
お嫁に行く?!
戦前のように、結婚が〝 家〟というものをベースに考えられていた時代ではなかったとはいえ、
私にはまだ、先方の家の嫁になるのだという意識が多分にありました。
ですから〝 お嫁に行く 〟とか〝 お嫁に来る 〟と言う言葉も日常会話でごく普通に使っていまし
たが、若い世代にはこれはすでに死語のようです。
だからと言って、それぞれの親だとか親戚だとかをないがしろにするわけではないのですが
〝 嫁に行く 〟のではなく相手と〝 結婚 〟するのであり〝 夫婦 〟になるのだと…。
よろしくごもっともで、返す言葉もありません…!
たった30年で…
この30年間での世の中の変化、考え方の変化は本当に大きなものですよね。
ある人はそれを、明治維新以来の大変革時代だと言っています。
私は、昔はよかったとか言いたいわけでも、変に懐かしんでいるわけでもないのです。
そのすべてを、いったんは「 へぇー、そうなんだ…。」と受け止めるようとしています。
ただ、その上でちょっと…と思う事には、自分の考えを伝えていこうと思ってもいます。
ですので、若い世代の方達にも、昭和の時代の価値観を信じ、その中で育ってきた人間が、
世の中にはたくさんいるという事を、心の片隅に留めておいていただきたいと思います。
「 そんなの古い! いまどきあり得ない!!」 の一言だけでばっさり切ってしまうのではなく、
そういうしきたりや習慣、考え方もあったんだねという事を、受け入れられなくても、いったんは
受け止めてみてほしいな、と思うのです。

激しいパラダイムシフトが連続のこの30年間…。
その変革にすべての人間がついていけるわけでもなく、あらゆるところで価値観の対立が
起こっているように思えるのです。
世代間の価値観の対立に悩んでいる方も多いのではないでしょうか…。
今皆に必要なのは、頭ごなしの対立や押し付けではなく、いったんはお互いの価値観を受け止
めてみるということでしょう…。
そして、まずは双方にとってのハーフアンサーを見つける努力をしてみること。
いきなりオンリーでベストな答えを出そうとするのは無理があると思うのです。
自分とは違う価値観…へぇー、そうなんだ…!
それは、新しい世界につながる扉かもしれないと思うのです。