心を癒すお花について
四季のある国に暮らしていると、季節ごとに、その姿かたちや色、香りで、私たちを楽しませ、元気
づけ、癒してくれる草花たちとの出会いに恵まれます。
これは、そんな草花をこよなく愛する私がお届けするメッセージです。
清らかさと聖性の象徴 蓮(ハス)
梅雨も終わりが近づいた今頃のほうが、雨の降る日が増えてくるようです。
道路にも大きな水たまりができ、雨粒が描くまん丸の波紋が幾重にも重なる様を見ていると、
私はこの花のことを思い出します・・・。
『 蓮は泥より出でて泥に染まらず 』 という中国のことわざのように、蓮は泥水に咲く清らかで
美しい花です。 しかもその花は、泥水が濃ければ濃いほど大輪になると言われています。
蓮の肥大化した地下茎が、蓮根(レンコン)ですね。 サクサクとした、あるいはモッチリとした
食感を楽しむ冬野菜ですが、アレルギー症状を抑えたり、若々しい肌を保つなどの成分が
豊富です。
我家では、きんぴらや天ぷらなどでよくいただきますが、穴の開いたその姿から〝 将来の
見通しがきく 〟という意味の縁起物として、お正月のおせちやお祝いごとの席にも欠かせ
ない食材です !

仏教では、蓮の花は仏さまの智慧や慈悲の象徴とされています。
多くの仏典に〝 蓮華(レンゲ) 〟の名で登場しますし、仏像の台座が蓮の花の姿になって
いるのもよくみかけるのではないでしょうか。
そう、中華料理店などで使われる陶器のスプーン〝 散蓮華(チリレンゲ) 〟は、蓮の花の
散った花びらに見立ててそう呼ばれているのですよ。

さて、この蓮とよく似ているのがクロード・モネの名画で有名な睡蓮ですね。
水面から葉と花を高く伸ばして咲く蓮に対し、水面に浮かぶように咲く睡蓮…。
開花から4日目に花を散らす蓮に対し、花が閉じたまま水中に没していく睡蓮…。
よく見ると、だいぶ違うところがあるようですね。

水辺に咲く花には、雨もよく似合います。 雨粒が蓮池に描く丸い波紋と、蓮の花の饗宴を
楽しむ…。 この季節ならではの風情ではないでしょうか。