心を癒すお花の話

四季のある国に暮らしていると、季節ごとに、その姿かたちや色、香りで、私たちを楽しま

せ、元気づけ、癒してくれる草花たちとの出会いに恵まれます。

これは、そんな草花をこよなく愛する私がお届けするメッセージです。

いつも身近にあった花  石蕗(ツワブキ)

日陰や乾燥にも強く、生育がとても旺盛なツワブキ。 その艶やかな大きな葉を一年中楽

しむことが出来るので、庭の下草や日本庭園の石組みの間などによく植えられています

が、あまりに身近にあって、その存在を意識することもない…そんな植物かもしれません。

しかし、花が少なくなり、木の葉も落ちて寂しくなる晩秋のころ、大きさ4~6センチほど、

ほのかに甘い香りのある、遠目にも鮮やかな黄金色の花を、茎の先に10数個ほどまと

まって咲かせてくれます。 それはまるで、忍び寄る冬の気配に心細さを感じている心に

灯をともしてくれるかのようです。

さびしさの眼の行方や石蕗の花  与謝蕪村

毎年ツワブキの花の季節になると、この俳句を思い出します。 ちなみに、〝石蕗の花〟

は、冬の季語になります。

「 ツワブキ(石蕗) 」 は、フキに似た艶のある葉をもつことから 「 つや葉フキ(艶葉蕗) 」

や「 艶蕗 」、 これが転じて「 ツワブキ 」 になったなどといわれています。 「 石蕗 」 と書

くのも、岩や石などの間に生えていることによります。

山陰の小京都といわれる山口県津和野市の〝つわの〟という地名も、実は〝つわぶき

の野〟という意味だそうですよ。

あまり一般的ではないかもしれませんが、九州地方などでは古くから、ツワブキノ若い

葉茎は春の食材とされてきました。 肝臓に有毒な成分も含まれているので、十分な

アク抜きが必要ですが、私もキャラブキにしたものをいただいたことがあります。

また、葉には強い抗菌作用があります。 そしてこのことは、私の子供時代の思い出に

つながっているのです…。 虫刺さされを掻き壊しでもしたのか…どういうわけだったの

かはわかりませんが、子どものころ手足に腫れ物を作ってしまう事がありました。

そんな時には祖母や母が、ツワブキの葉を乾燥させたり火であぶったもので手当てを

してくれたのです。 懐かしい、なつかしい、昭和30年年代の風景です…。

花言葉は 「 困難に負けない 」 「 困難に傷つけられない 」 「 愛よよみがえれ 」 「 謙遜 」

そして「 先を見通す能力 」 など、その生命力の強さや、冬枯れに向かう中で咲く花の

美しさをたとえたものとなっていますね。

大好きだった祖父母の家の庭、幼いころに住んでいた家の庭、そして今の住まいの庭…

ツワブキは、さしてその存在を主張することもなく、でもいつも身近に、寄り添うようにいて

くれた植物です。 鮮やかな花が目に留まるこの季節 …、懐かしい思い出が心に灯して

くれる安らぎを、ゆっくりとかみしめながら過ごす時間も楽しみたいものです。


Featured Posts
Recent Posts
No tags yet.
Search By Tags