暗闇を照らす優しい光

秋は月の綺麗な夜が続きますね。 満ちていく月もよし、満月もよし、そしてまた、欠けて

いく月もよしです。 先日の満月の夜、降り注ぐ月光を浴びながらの帰り道、ふとこんなこ

とを思い出しました。

2011年の東日本大震災のあと、直接の被害を受けることはなかった私たちの生活も、

少なからぬ影響を受けましたよね。 電力の供給に制限がかかったことで、夜の繁華街の

電飾は落とされ、計画停電が実施される時間には、信号も街灯も消え、数時間の暗闇の

夜を過ごさざるを得なかった日々…。

そんな時にある雑誌で、バイオリニストの葉加瀬太郎さんの対談記事を読みました。

葉加瀬さんは生活の拠点をロンドンにも持っていらっしゃるのですが、震災の後帰国した

ときに、それまでの半分以下ぐらいの明るさになっている東京の繁華街の灯りを見ても

何の違和感も感じなかったそうです。 「人に言われて、そういえばそうかな、と思った程

度。 しかも、それでもロンドンの街よりずっと明るですから。」

夜の街の灯りは、夜行性ではない私たち人間がその時間を安全に過ごすためには必要な

ものでしょう。 犯罪を抑止する効果もあるでしょう。 でも、それが過剰になると、それと引き

換えに失っているものもあるはずです。

都会の明るい、明るすぎる夜の中では、こんな満月の降り注ぐ月光、その優しい明るさを

感じることも出来ないですものね。 ましてや小さな星の瞬きなど、その存在すら感じられ

ない…。

計画停電の暗闇、心細さの中で、窓から差し込む光の帯に気が付き、夜空を見上げると、

綺麗な明るい月と、いつもより少しだけ多くの星が暗闇に包まれた街を優しく見守るように

輝いていました。

人類の先祖たちは、暗闇のなか、夜行性の肉食獣に襲われる恐怖と戦かってきました。

だから、私たちのDNAにはその記憶が刻み込まれています。 暗闇の時間を安全に

過ごす工夫や発見があったからこそ私たちは今日まで生き延びてくることが出来たので

しょう。

そして今や、スイッチを入れれば電気は点いてあたりまえ、それが制限されることは、たま

らなく不便であり、太古の記憶からの不安も感じますよね。 でも、それに完全に依存して

しまうと、そこにあるのに見えない、感じない、そんなものがたくさんになっていってしまうよ

うに思うのです。

たまには電気を消して、暗闇を照らす月の光を愛でる…。 暗闇に漂うほのかな花や草木

の香りを感じる…。 ひんやりとした夜気を感じる…。 そんな時間を過ごしてみてはいかが

でしょうか。

自分の心の中にあるのに気が付かなかったこと、感じることをしてこなかったことが、はっ

きりと見えてくるかもしれませんよ…。


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心理カウンセラー永倉知佳(ながくらともか)による子育てママのためのセラピー&カウンセリング・魔法の質問講座

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