心を癒す花のお話し
四季のある国に暮らしていると、季節ごとに、その姿かたちや色、香りで、私たちを楽しま
せ、元気づけ、癒してくれる草花たちとの出会いに恵まれます。
これは、そんな草花をこよなく愛する私がお届けするメッセージです。
高貴な香りに癒される 蝋梅(ロウバイ)
ロウバイは、中国中部原産の落葉低木で、日本には17世紀、江戸時代の初めに渡来しま
した。 花名は漢名がそのまま使われているのですが、その由来は、蝋細工のような光沢と
質感をもつ梅に似た花を咲かせるからだとか、陰暦12月の蝋月のころ(現在の1月頃)に咲く
梅によく似た花だから、などと言われています。

このロウバイは、〝梅〟の字を当てていますが、ロウバイ科ロウバイ属の植物で、バラ科サクラ属の梅
とはまったく種類が違うのです。

中国では、厳冬期に咲く花の代表として、ロウバイ・ツバキ・ウメ・スイセンを〝雪中四花〟と呼んで
いるそうです。 キーンとしまった空気の中、明るさを取り戻しつつある陽射しを受けて咲く花々…。
凛とした美しさをかんじるもの達ですね。

ロウバイの花言葉は 「 先導 」 「 先見 」 「 慈愛 」 「 優しい心 」 。 寒さの中、春が近づきつつ
あることを告げてくれるこの花には、どれもピッタリなものに思えます。

また、ロウバイは観賞用だけでなく、その花やつぼみから抽出した〝蝋梅油〟は、火傷・解熱・
鎮痛・咳を鎮めるという効果のある生薬でもあります。

そして、ロウバイといえば何といってもその高貴なまでの甘い香りで、その主成分からみて、鎮静
精神安定・空気清浄などの効果があります。 この芳香を胸いっぱいに吸い込むと、暖かい春の
訪れが近いことを感じ、花言葉のごとく 「 慈愛 」 が心に満ちてくるような気がします。
ちょっと恥ずかし気に、うつむき加減に咲く花姿、ほんのりと優しい黄色の花色、そして芳香…。
寒さに縮こまりがちな心に、一足早い春を告げるロウバイの花。 美しく優しい、私の大好きな
花の一つです。