心を癒すお花の話
四季のある国に暮らしていると、季節ごとに、その姿かたちや色、香りで、私たちを楽しま
せ、元気づけ、癒してくれる草花たちとの出会いに恵まれます。
これは、そんな草花をこよなく愛する私がお届けするメッセージです。
ふわふわ艶やかな猫の尻尾 猫ヤナギ
かつては、北海道から九州までの川辺などでよく見られた猫ヤナギは、樹高約3メートル
ほどの落葉低木で、他のヤナギに先駆け早春に花を咲かせるので〝春の訪れを告げる
植物〟の一つとして、古来より広く愛されてきました。
しかし、近ごろでは河川の護岸工事が進んだため、自然の風景の中で猫ヤナギの姿を見
かけることはめっきり少なくなってしまいましたね。 様々な要因での異常気象で、想定外
などと言われる豪雨がしばしば起こる昨今ですので、治水のために必要なものだとは理解
していますが、失われてしまった風景に何とも言えない懐かしさを感じます。

猫ヤナギといえば、なんといっても、このふわふわで艶やかな銀白色の綿毛に包まれた花穂です。
これを猫のふわっとした尻尾に見立て〝猫ヤナギ〟とよばれているのですが、見かけだけでなく、
そっと触れると本当にしっとりとしていて柔らかく、まさに猫の尻尾そのものですね。
この花穂は、雄花と雌花がたくさん集まって形作られているものです。 また、ヤナギとはいうものの、
枝は垂れることなく、上へ上へと伸びていきます。

この花穂は、見かけの愛らしさなどから生け花の花材としてもよく使われています。 また、私は見
かけたことがないのですが、近年では、園芸用に改良されたピンク色の花穂のものもあるそうですよ。
また、この猫ヤナギの樹液は、カブトムシやクワガタムシ、カナブン、スズメバチの好物だといわれます。
ということは、甘くて美味しいのでしょうか…ちょっとなめてみたいような気がします。

花言葉は 「 自由 」 「 努力が報われる 」 「 親切 」 「 思いのまま 」 「 開放的 」 「 率直 」などで、
春を待つ姿や、自由自在に曲がるヤナギ科の枝、さらには〝猫〟の自由気ままな様子からつけられ
たもののようですね。

我が家の次女も猫を飼っています。 なかなか麗しい血筋の王子様たちなのですが、彼らも本当に
気ままです。 自分から甘えてくるときもありますが、必要以上に構われるのは迷惑! でも、放って
おかれるのもいや!! 微妙な距離感を保ちつつ、あくまでもマイペースで自分本位…。
でも、そんな人に媚びない、それでいて自分たちの要求を何とも絶妙に伝える〝猫〟の魅力…。
これはなかなか奥深く興味深いものなのです。
銀白色の猫ヤナギの花穂にも、きちんと主張しているところがある一方で、脇役の控えめさのようなも
のも感じ、気ままな自由さがある一方で、なんとも優しい癒しも感じるのです。
陽だまりにうずくまる猫のような〝猫ヤナギ〟。 2月5日、私の誕生日の花・・・。 猫と猫ヤナギの
このしなやかさを、私も大切にしていきたいと思っています。
