心を癒すお花の話

四季のある国に暮らしていると、季節ごとに、その姿かたちや色、香りで、私たちを楽しま

せ、元気づけ、癒してくれる草花たちとの出会いに恵まれます。

これは、そんな草花をこよなく愛する私がお届けするメッセージです。

春を告げる濃厚な甘き香り  ヒヤシンス

沈丁花、水仙、フリージア…そしてこのヒヤシンスと、春先には芳香を放つ花々が次々と花

を咲かせ、その香りに包まれ、酔いしれるのも私の楽しみの一つです。

ヒヤシンスは地中海沿岸と北アフリカが原産の球根性多年植物です。 16世紀にオランダ

商人がヨーロッパに持ち帰り、母国のオランダで改良を加えたのが、一般的にみられる〝ダッチ

ヒヤシンス〟で、細長い1本の茎に直径2~3センチほどの花をたくさん咲かせ、ボリューム感

があり、ちょっとゴージャスな印象を与えてくれます。

他には、フランスで改良された、数本の茎をもち、ダッチ系よりも花数の少ない〝ローマンヒヤ

シンス〟という種類もあります。

どちらにしても、紫、青、ピンク、白、黄色などカラーバリエーションが豊富で、濃厚な香りを放ち

水揚げも簡単なことから、切り花やアレンジメントの花材などとしてもよく使われます。

日本には江戸時代の末期、1863年頃にフランスからチューリップとともに渡来し、当時は〝錦

百合(ニシキユリ)〟と呼ばれていました。 明治時代になると〝飛信子〟〝風信子〟といった

漢字が当てられ、大正時代中期には一般に広まっていき、春の季語ともなっています。

さて、この〝ヒヤシンス〟という花の名は、ギリシャ神話に登場する美少年〝ヒュアキントス〟

に由来しています。 彼は太陽神アポロンと西風の神ゼピュロスの2人から愛されていました。

そんなある日のこと、彼はアポロンと円盤投げを楽しんでいました。 その親しげな様子を見た

ゼピュロスが激しく嫉妬をして、意地悪な風を起こしました。 するとその風で円盤の軌道が

変わり、ヒュアキントスの額に激突し、彼は大量の血を流して死んでしまいました。

そして、その血から咲いたのが、紫のヒヤシンスだ…というのです。

ヒヤシンス全般の花言葉は 「スポーツ」 「ゲーム」 「遊び」 「悲しみを超えた愛」 などですが、

悲しいギリシャ神話から、紫には 「悲しみ」 「悲哀」 などが当てられています。 その他、

ピンクには 「しとやかなかわいらしさ」、白には 「心静かな愛」、青には 「変わらぬ愛」、

黄色には 「あなたとなら幸せ」 など、その花色によって様ざまですのでプレゼントなどには、

場面に応じて使い分けるといいかもしれませんね。

皆さんはこの花を、水栽培で楽しまれたことはありませんでしょうか。 私は遠い昔、小学校の

理科の時間に育て、観察日記を書いた覚えがあります。 地面に植えた時と同じような環境

にしてあげるのが大切なので、十分に発根するまでは冷暗所において、発芽してからは寒さに

当てると上手に開花させる事が出来ますよ。

ヒヤシンスの甘く濃厚な香りから伝わってくるのは、春の躍動感というよりは、しっとりと落ち着いた

深い歓び…、そして大人の女性の品のいい色気のようなもの…。 その花姿も、チューリップが

少女の愛らしさだとすると、ヒヤシンスにはマダムの風格を感じます。

ヒヤシンス、それは大人の女性にお似合いの、香り高き春の花・・・ではないでしょうか。


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